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奥能登国際芸術祭2017を訪ねて

2017.09.27

奥能登国際芸術祭2017を訪ねて01

「さいはての地で最先端の現代美術と出会う」
奥能登国際芸術祭2017

「奥能登」って聞いてどこにあるかご存知でしたか?
確かNHK朝の連続ドラマの舞台だったお塩を作っている地域だった?
日本海側の方??

「奥能登」とは、石川県は能登半島の本当に最先端に位置するエリア。
今回行った「奥能登国際芸術祭2017」の舞台、石川県珠洲市はまさに
そこにありました。
ここで9/3から10/22までの50日間、初めての芸術祭が開催されているのです。

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羽田空港から飛行機で能登空港まで45分。
空港から車で1時間弱で珠洲市に着きます。
エリアは大きく4つに分かれ、11の国と地域から39組による
現地の自然と文化を織り交ぜた現代美術作品が展開されています。

私たちは4つのエリアをそれぞれ巡るガイドツアーに参加して
半島中をくまなく回りました。
珠洲市は能登半島の先端部分を占めるため、本土側の内海(飯田湾)と
日本海に面した外海(日本海)の両方を有しています。
アートを巡りながらエリアを横断すると、まるで異なる海岸線の様子も
体感できて、その変化感はなかなか興味深いものがありました。

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穏やかな表情の内海側ですが、南エリアに、珪藻土でできた迫力のある
「見附島」がそびえています。
引き潮なら歩いて近くまで行ける観光名所です。
この海岸線に島と呼応するように作品を施したのが中国の作家リュウ・ジャンファ。
作品名は「Drifting Landscape」。
ずらりと並んだのは、作家の出身国・中国の代表的な焼き物「景徳鎮」と
珠洲市の特産・珠洲焼の黒い陶器のオブジェたちです。
おびただしい数の陶器たちは欠けているものや破片など、まるで対岸から漂流した遺物のよう。
この地がいかに大陸の文化と関わってきたかも背景にあり、歴史の変遷や今の文明のあり方を寡黙ながらに発信しています。

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同じようにランドスケープを大胆に利用した作品はほかにいくつもあります。

鴻池朋子の「陸にあがる」。
日本海側は半島の北端、シャク崎の切り立った崖の険しい道のりを上って行くと
突然視界が開け、現れるオブジェ。眼下の岩場のコントラストは壮大な風景で、
まさに感動ものでした。
そして対峙するように海岸の岩場にも同じ素材のオブジェ。
荒れた岩場に鎮座する純白のティアラのように見えました。
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海岸線を表現の場とするアートをもう一つ。
小山真徳の「最涯の漂流神」。

漂流物を神として祭った由来があるように、この地区には様々なものが流れ着き
幸をもたらしてきたといいます。
この作品は漂着した破船をモチーフに、その中にご神体を祭った奥能登ならではの信仰にも迫るもの。
広がる静かな砂浜にぽつんと存在するのが、妙に心に引っかかる作品です。

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内陸にも注目のアートが盛りだくさんです。

今や廃線になってしまったのと鉄道の「能登線」。
その線路や駅舎が未だに残っていて、それらを利用したノスタルジックな
作品も多くみられました。

そんな作品たちの一つが世界的に有名なアーティスト、トビアス・レーベルガーの
「Something Else is Possible/なにか他にできる」。
旧駅へと続く線路の真ん中に作られた虹色のオブジェは、過去から未来へと続く心の
線路を通しているように、これからの希望を表現しています。

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エリアにはもう人の住まなくなった家屋やお店、学校や施設も残念ながら数多くあるそう。
そんな家屋を利用して、昔ながらの暮らしぶりや土地の習慣などに向けたオマージュを
表現した作品も目立ちました。

岩崎貴宏の「小海の半島の旧家の大海」。
能登半島の特産は海岸の塩田で丁寧に作られる塩。
空き家になった建物の内部を塩で埋め尽くし、あたかも塩の海を作り出しています。
その波間にはこの家で代々使われていた道具や小物などが・・・。

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昔ながらの銭湯も近年廃業してしまいました。
趣のあるその建物の中に、異次元の空間を作り出して蘇らせたのが
女性アーティストのお2方。

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麻生祥子の作品は「信心のかたち」。
お風呂屋の番台を挟んで片側スペースを泡でいっぱいにしています。
目に見えないことや不確かなことも信仰の対象になっているこのエリアの習慣を、
絶え間なくあふれては消えていく泡に見立てて表現しています。

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反対側は井上唯の「into the rain」。
海あり山ありの自然の包まれた珠洲市の暮らしを生命の源である水の滴として素材に表現。
包み込むように内部を覆っています。
その中をかいくぐったり寝転んだり、無垢な心で豊かな自然に戯れる気持ちになりました。

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今でも使えそうな銭湯の什器。蛇口や椅子がなんともキュートです。

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芸術祭はその土地ならではの文化とふれるのも楽しみです。

ちょうどこの時期奥能登は秋祭りの真っ最中。
珠洲市はじめ能登半島で繰り広げられるのが「キリコ祭り」です。

提灯や吉兆文字など豪華に飾り付け、数メートルからゆうに十メートル以上もの
高さを誇る壮大な出し物が「キリコ」。
それを掲げて町中を練り歩き豊穣や厄払いを願うのが「キリコ祭り」で、
日本遺産にも認定されています。

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今回は直にお祭りに出会うことはできなかったけれど、
さらに奥深い奥能登の文化を知ることができました。

芸術祭自体はもちろんのこと、アートを通して新たな日本のエリアを
知り触れることこそが、地方での芸術祭のだいご味だと、
改めて感じた充実した3日間でした!

芸術祭は10月22日まで。
もしご興味のある方は、ぜひ行ってみてください!

*作家敬称略。
能登芸術祭オフィシャルhp http://oku-noto.jp/

アート部 A*